企画からデザイン、提案、制作まですべて工房主体のオーダーメイド

白雲工房が最も大切にしている事。
それは依頼主の方の想いや、そのものに込められた物語。
なぜ、何のためにどういったものを作るのか。依頼に応え、喜んでいただく事を第一に、お客様とのお話を重ねた後、デザイン案をご提案いたします。
デザイン決定後に描く原寸図案は1つとして同じものは無く、110余年の歴史の中で約2,000枚にわたり、工房のギャラリー「槌蔵」に大切に保管しております。

120年培ってきた工房の技と心、徒弟制度の中で職人を育てる

かつて日本のあらゆる職人世界には、親方の家に住み込みその技と心を習得するための「徒弟制度」が広く存在しました。しかし、時代の変化とともに合理性・効率性を優先するに従いその制度は消えていき、現在の井波彫刻においてもその制度を続ける工房は今ではほとんど無くなってしましました。
伝統を育み受け継いでいくプロの職人を育てる。
白雲工房では住み込みで弟子を育て、またその若い感性をも生かした新たな伝統の始まりを作っていけるよう「徒弟制度」を今もなお大切にしています。

材料選びと材料管理

白雲工房のある井波地域周辺には木に関する多様な業者が集積しています。
井波彫刻によく用いられる楠や欅をはじめ、多種の木材が材料選びのプロによって選定され身近に入手できるほか、製材、加工(宮大工や建具など)のプロも身近にいるという環境が整っていることから、木彫刻を営むための充実した環境があります。
また、工房にも材料管理倉庫を所持しており、木材の乾燥はもちろん、その彫刻に適した材料ができるだけすぐに使用できるよう、常時幾種類かの多用な材料を保管しています。

多岐にわたる伝統職人とのチームワーク

職人仕事は、一般的にいう芸術家とは違い、依頼された事を先人から受け継いだ技と心、そして自分の知恵と技術でどこまで応えられるか毎回が挑戦です。
白雲工房は一貫してオーダーメイドのものづくりを行うため、その都度新しいアイディアや技術を要します。木彫刻職人だけではなく、宮大工・建具・金箔・錺金具・板金・鋳物・漆・挽物・宮絵などなど。他にも多くの職人との連携により、それぞれがプロとして知恵を出し合い技術を共有し、生み出されるものがあります。
白雲工房のものづくりにおいてはなくてはならない要の一つとして大切にしております。

100年、200年と大切にされ、残していけるものを作る

戦後、人々は皆一同にものや便利さを得る事で幸せを感じ、そんな成長社会におけるものづくりはより効率を優先したものが主流でした。
そんな中、一切の手を抜く事なく時間と手間をかけ、常に依頼主のためのオーダーメイドの図案を描きひとつひとつの仕事を大切にしてきた事。
それは白雲工房の誇りとして現在もなお受け継がれております。
そして、これまでのお客様とのご縁もまた延々と受け継がれ、修理やまた新たな仕事のご依頼など深いお付き合いをさせていただけることは工房の宝です。
ものがあふれ、便利な事が当たり前になった現在の世の中。ただものや便利さを得る事だけでは幸せとはいえない時代となりました。
そんな中、初代より変わらぬ想いで100年200年と大切にされ残していけるものを作る事、喜んでいただけるものを作る事は現代が求める、心の豊かさや幸せに通じる事と思っています。
昔から変わらずにやってきた事が、今また大いに必要とされていると自負し、これからもそんな白雲工房の伝統を育んで参りたいと思います。